
書いた人:山下晋弥(株式会社SIMARAKO DYNA 代表・専門:介護の採用支援)
「求人にお金をかけているのに、1人採るのにいくらかかっているのか分からない」。
「人材紹介会社に払う手数料が、年々重くなっている」。
「やっと採用できたと思ったら、半年で辞めてしまい、また同じお金をかけている」。
介護施設の採用を担当していると、こうした悩みを抱えることになります。
この記事では、介護施設の経営者・採用担当の方に向けて、介護職の採用単価(1人を採用するのにかかる費用)の相場と内訳、そして単価を抑える方法を順番に解説します。
先に結論をお伝えすると、採用単価は「どこにお金を払っているか」「採用した人がどれだけ長く働くか」「近くの施設と同じ条件で競っていないか」の3つで大きく変わります。
この記事のまとめ(先に結論)
- 採用単価は「採用にかかった費用の総額 ÷ 採用した人数」で計算します
- 費用は、求人広告か人材紹介会社か、無料の方法かによって大きく違います
- 人材紹介会社を使うと、介護職1人あたりの手数料は全国の平均で59万7千円です(令和6年度・厚生労働省「職業紹介事業報告」)
- 外に払うお金だけでなく、面接する人の時間などの内部の費用も含めて考えます
- 早く辞める人が多いほど、1人あたりの単価は上がります
- 近くの施設と同じ条件で競うほど、採用単価は上がりやすくなります
介護職の採用単価とは?
採用単価とは、1人の職員を採用するまでにかかった費用のことです。
求人広告の掲載料や、人材紹介会社に払う手数料だけではありません。
求人原稿を作る時間、応募者とのやり取り、面接、入職までの準備にかかった費用も、すべて採用単価に含まれます。
採用単価の計算方法
採用単価は、次の式で計算します。
採用単価 = 採用にかかった費用の総額 ÷ 採用した人数

たとえば、1年間で採用に300万円を使い、3人を採用できたとすると、1人あたりは100万円になります。
同じ300万円で2人しか採用できなければ、採用単価は150万円になります。
※この段の金額は、計算の仕方を説明するための例です。
採用した人がすぐに辞めることも考えるなら、1年後に残っている人の数で割って計算する見方もあります。
大切なのは、施設全体の合計だけでなく、採用の方法ごとに計算することです。
求人広告で何人、人材紹介で何人、職員の紹介で何人と分けて計算すると、どの方法にお金をかける価値があるのかが見えてきます。
介護職の採用単価の相場
採用単価は、どの方法で人を集めるかによって大きく変わります。
ここでは、介護の採用でよく使われる方法ごとに、費用がどのような仕組みでかかるのかを見ていきます。
このうち、国の集計で1人あたりの金額が出ているのが、人材紹介会社の手数料です。
求人広告の費用(掲載課金型・応募課金型・成功報酬型)
求人サイトや求人誌に募集を載せる方法です。
費用のかかり方は、大きく3つに分かれます。
掲載課金型は、広告を載せた時点で費用がかかる仕組みです。
応募が1件もなくても費用がかかる一方で、1回の掲載で複数人を採用できれば、1人あたりの単価は下がります。
応募課金型は、応募があった時点で費用がかかる仕組みです。
応募がなければ費用はかかりませんが、採用につながらない応募にも費用がかかります。
成功報酬型は、採用が決まった時点で費用がかかる仕組みです。
採用できなかった時のお金の無駄はありませんが、採用する人数が増えるほど費用も増えます。
どの型が合うかは、1回の募集で何人採用したいか、どれくらい応募が集まりそうかによって変わります。
人材紹介会社の手数料
人材紹介会社は、施設が求める条件に合う人を探して紹介してくれる仕組みです。
採用が決まった時点で、手数料を払います。
人材紹介会社を使って介護職を1人採用したときの手数料は、全国の平均で59万7千円でした。
(出典:厚生労働省「地域ブロック別の職種別平均手数料額・分布について」PDF p.2・令和6年度の「職業紹介事業報告」より)
紹介会社に聞いた国の調査では、介護職員の手数料率は、真ん中の値(中央値)で20%でした。
なお、この20%が何に対する割合なのかは、報告書には書かれていません。
(出典:厚生労働省「医療等分野における雇用仲介事業に関する調査研究事業」報告書 PDF p.46・令和8年3月31日)

同じ調査では、65.8%の紹介会社が、同じ職種でも異なる手数料を用いていると答えています。
(出典:同じ報告書 PDF p.47)
条件に合う人をすぐに紹介してもらえるのが良いところですが、1人採用するたびに手数料がかかります。
手数料は紹介会社によって違います。
契約の前に、何をもとにいくらかかるのか、入職してすぐに辞めた場合に手数料の一部が戻る決まり(返金規定)があるかを、あわせて確かめておきましょう。
ほとんど費用がかからない方法(ハローワーク・職員の紹介)
ハローワークに求人を出すのは、無料です。
施設のホームページの採用ページや、職員から知り合いを紹介してもらう方法も、外に払うお金はほとんどかかりません。
ただし、無料の方法は、求人票や採用ページを作る時間や、応募者とやり取りする時間がかかります。
お金はかからなくても、施設の中の人の時間を使っていることは、覚えておく必要があります。
採用単価に含まれる費用の内訳
採用単価を正しく計算するには、何にお金がかかっているのかを分けて見ることが大切です。
採用の費用は、外に払う「外部コスト」と、施設の中でかかる「内部コスト」に分けて考えます。
外部コスト(外に払うお金)
外部コストとは、施設の外の会社やサービスに払うお金のことです。
たとえば、次のようなものがあります。
- 求人サイト・求人誌の掲載料
- 人材紹介会社への手数料
- 採用ページや採用動画を作る費用
- 合同説明会への出展費用
- 求人のチラシやパンフレットの印刷代

外部コストは金額がはっきりしているので、見直しの対象になりやすい費用です。
内部コスト(面接する人の時間など)
内部コストとは、施設の中でかかっている費用のことです。
たとえば、次のようなものがあります。
- 求人原稿を作る職員の人件費
- 応募者と電話やメールでやり取りする時間
- 施設長や主任が面接に使う時間
- 見学に来た人の案内や、面接の交通費
- 入職した人への研修の時間
内部コストは金額として見えにくいため、見落とされがちです。
外部コストを下げても、面接や選考にかかる時間が増えていれば、採用単価の合計は下がらないことがあります。
介護職の採用単価が高くなる3つの理由
介護の採用単価は、なぜ高くなりやすいのでしょうか。
ここでは、3つの理由を見ていきます。
1.応募が集まらず、掲載が長引く
介護の仕事は、求人の数に対して、働きたい人の数が少ない状態です。
介護の仕事の有効求人倍率(仕事を探している人1人に対して、求人がいくつあるかを表す数字)は3.97倍で、仕事全体(1.16倍)の3倍以上です。
(出典:厚生労働省「介護人材確保の現状について」PDF p.8・令和7年3月の数字)
応募が集まらなければ、求人広告を載せる期間が長くなり、載せる求人サイトも増えていきます。
その分だけ費用が増え、1人あたりの単価が上がっていきます。
2.早く辞めると、1人あたりの単価が上がる
採用した人が早く辞めると、その人にかけた採用の費用は戻ってきません。
さらに、辞めた人の代わりを探すために、また同じ費用がかかります。
たとえば、300万円をかけて3人を採用しても、そのうち1人が早く辞めれば、残った人の数で割ると、採用単価は150万円になります。
※この段の金額は、計算の仕方を説明するための例です。
前の仕事が介護の仕事だった人に、その仕事を辞めた理由を聞いた調査では、1位は「職場の人間関係に問題があったため」で、27.3%でした。
(出典:介護労働安定センター「令和7年度 介護労働実態調査」結果の概要 PDF p.4)
採用単価を下げるには、採用の方法だけでなく、入った人が辞めない職場づくりも一緒に考える必要があります。
3.近くの施設と同じ条件で競っている
3つ目の理由は、近くの施設と同じ条件で、同じ求職者を取り合っていることです。
令和2年度の調査では、人が足りない理由に「採用が困難である」と答えた4,405の介護の事業所のうち、53.1%が、その原因に「同業他社との人材獲得競争が激しい」を挙げていました。
(出典:介護労働安定センター「令和2年度 介護労働実態調査」結果の概要 PDF p.1・p.10)
私たちが大阪府の特別養護老人ホーム(特養)のホームページや採用ページを調べると、読み取れた383施設のうち172施設が、「人間関係・チームの雰囲気」にあたる強みを挙げていました(私たちが中身で分けた結果です)。
(株式会社SIMARAKO DYNA 調べ・2026年10月時点)

求職者から見ると、同じ種類の強みを挙げる施設が並んでいると、違いが分かりにくくなります。
違いが分かりにくければ、求職者は給料や休みの日数といった、比べやすい条件で選びやすくなります。
すると、施設は給料を上げたり、広告を大きくしたり、紹介会社を使ったりして、お金で選ばれようとしがちです。
これが、近くの施設と同じ条件で競うほど、採用単価が上がっていく理由の一つと考えられます。
介護職の採用単価を抑える6つの方法
ここからは、施設が自分でできる、採用単価を抑える方法を6つ紹介します。
1.採用の方法ごとに、1人いくらかかったかを記録する
まずは、どの方法で何人採用でき、いくらかかったのかを記録します。
求人広告、人材紹介、ハローワーク、職員の紹介と分けて計算すると、1人あたりの単価が高い方法と低い方法が分かります。
あわせて、採用した人が1年後も働いているかも記録しておくと、本当に効果があった方法が見えてきます。
単価が高く、しかも人が残らない方法から、お金を減らしていきましょう。
2.ハローワークと無料の求人枠を使い切る
ハローワークは、無料で求人を出せる方法です。
求人票の仕事の内容や、備考の欄に、求職者が知りたいこと(1日の流れ、残業の少なさ、休みの取りやすさ、研修の内容など)を具体的に書き込むことで、応募の数が変わることがあります。
求人の検索サイトの中にも、無料で求人を載せられる枠があるものがあります。
お金を払う方法を使う前に、無料でできることを使い切っているかを確かめましょう。
3.職員の紹介を制度にする
いま働いている職員から、知り合いを紹介してもらう方法です。
紹介する職員が、職場の雰囲気や仕事の大変さも伝えてくれるので、入ってから「思っていたのと違った」と感じる人が少なくなりやすい方法です。
紹介してくれた職員にお礼の手当を出すなど、制度として決めておくと、紹介が生まれやすくなります。
4.自社の採用ページで、求職者が比べる情報を出す
求職者は、応募する前に、施設のホームページや採用ページを見て比べることがあります。
条件だけでは違いが出にくいため、自分の施設の採用ページを見直す時は、ほかの施設と違う強みが具体的に書かれているか、見学できるかなど応募の前の不安に答えているか、スマートフォンで読みやすいか、募集要項がページの中で読めるかを、確かめるとよいでしょう。
近くの施設と同じ言葉を並べるのではなく、あなたの施設にしかない強みを、具体的な出来事や数字で書くことが大切です。
SNSで施設の日常を発信することも、採用ページを見てもらう入口の一つになることがあります。
条件だけで比べられない理由を採用ページで伝えられれば、広告や紹介会社に頼る分を減らしていけます。
5.見学や面談で、入る前と後のずれを減らす
面接の前に、施設見学や、気軽に話せる面談の時間をつくります。
良いところだけでなく、夜勤の大変さや、いま困っていることも正直に伝えます。
入る前に知ったうえで入職した人は、「思っていたのと違った」という理由で辞めることが減りやすくなります。
早く辞める人が減れば、同じ採用の費用でも、1人あたりの単価は下がっていきます。
6.採用の流れを効率化して、返事を早くする
応募から内定までの流れを先に決めておくと、採用にかかる時間を減らしやすくなります。
たとえば、書類選考で見る点を先に決めておけば、1人ごとに迷う時間を短くしやすくなります。
最初の面談をオンラインにしたり、面接の日を応募者が自分で選べる仕組みを使ったりする方法もあります。
応募した人は、ほかの施設にも同時に応募していることがあります。
返事が早いほど、ほかの施設に先に決まってしまうことを防ぎやすくなります。
流れを速くすることは、面接や連絡にかかる内部コストを減らすことにもつながります。
まとめ:採用単価は「どこに払うか」「どれだけ長く働くか」「同じ条件で競わないか」で変わる
介護職の採用単価は、「採用にかかった費用の総額 ÷ 採用した人数」で計算します。
求人広告、人材紹介会社、無料の方法のどれを使うかで、費用のかかり方は大きく違います。
外に払うお金だけでなく、面接する人の時間などの内部の費用も含めて考えることが大切です。
そして、早く辞める人が多いほど、近くの施設と同じ条件で競うほど、採用単価は上がりやすくなります。
大阪の株式会社SIMARAKO DYNAでは、近くの施設の採用ページを並べて読み、求職者から見て、その施設がどこで選ばれているのか、どこで外されているのかを確かめるお手伝いをしています。
自分の施設が、近くの施設の中で求職者からどう見えているのかを知りたい方は、無料の採用診断をご利用ください。
出典
- 厚生労働省「地域ブロック別の職種別平均手数料額・分布について」(資料出所=厚生労働省「職業紹介事業報告」令和6年度実績)https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001754261.pdf
- 厚生労働省「医療等分野における雇用仲介事業に関する調査研究事業」報告書(令和8年3月31日)https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001718323.pdf
- 厚生労働省「介護人材確保の現状について」(第1回 社会保障審議会福祉部会 福祉人材確保専門委員会 資料5・令和7年5月9日)https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001485589.pdf
- 介護労働安定センター「令和7年度『介護労働実態調査』結果の概要について」(令和8年7月29日)https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R7_jittai_chousa_press.pdf
- 介護労働安定センター「令和2年度『介護労働実態調査』結果の概要について」(令和3年8月23日)https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/2021r01_chousa_kekka_gaiyou_0823.pdf
- 特養のホームページ・採用ページの調べ(読み取れた383施設・本文「近くの施設と同じ条件で競っている」の段):株式会社SIMARAKO DYNA 調べ・2026年10月時点


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